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ミニ情報通信

令和元年度上期中国・四国ブロック会議が開催されました。

去る9月2日(月)午後1時30分から、岡山市北区の「株式会社ベネッセビジネスメイト」において標記会議が開催されました。

加藤副会長の司会進行のもと、最初に薬師ブロック長のあいさつで、1)(株)ベネッセビジネスメイトに見学の機会を提供いただき、勉強させてもらった。規模が大きすぎて参考になるか心配であったが、取り入れるべきことは多々あり、先を見据えてできることから始めていきたい、2)先の総会において全重協の名称を変えることとなった。しばらくは馴染みが薄いかもしれないが、名称に「重度」がついていると、ハードルが高い印象を与えかねず、会員の減少が心配。会員の皆様には、色んな会合で名称変更について話していただき、認知されるための努力をお願いする、3)全重協設立30周年記念講演として、坂本光司先生に講演いただいたが、先生の著書「日本でいちばん大切にしたい会社」が6巻まで出ており、よい会社を見習いたいと考えている、といった話がありました。

続いて栗原会長のあいさつで、1)(株)ベネッセビジネスメイトを見学させていただいたが、障害があることを感じさせない従業員の方々の働きぶりで、企業努力がうかがわれた。我々も少しでもこうした取組に近づけていかなければいけない、2)(株)ベネッセビジネスメイトはこの度の独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構(以下「機構」といいます。)理事長表彰を受けられ、また、障害者雇用エクセレントカンパニー賞も受賞された。中国・四国ブロックで他にも機構理事長表彰を受けられた会員企業があり、そのご努力に敬意を表する、3)また、長い間、中国・四国ブロック長を務めていただいた前ブロック長の柏木健二氏が機構理事長の個人表彰を受けられた、4)全重協の名称については、精神障害者に「重度」の概念がないこと、平成元年の法人化から30年の節目に来ていることなどから、会員の皆さんと話をしてきた中で、「重度」をとることとなった。来年度から「全国障害者雇用事業所協会」となるが、今後何十年と親しんでいただけるよう努力していきたい、5)会員の皆様のご努力により厚生労働省からの受託事業も3年目となった。これにより全重協の知名度も上がり、会員の増加につながっているので、来年度も是非、落札したいと考えている、6)7月から全重協本部に異動があり、水野事務局長が退任し、後任に野村事務局長が就任した。前事務局長と同様に、何かあれば気軽に電話等で相談していただきたい、といった話がありました。

栗原会長のあいさつの後、来賓として岡山県保健福祉部障害福祉課長の片山圭子様、機構岡山障害者職業センター所長の余野木琢也様が紹介されました。片山様からごあいさついただき、1)全重協は、障害のある方の就労促進に重要な役割を担っていただいており、会員の皆様のご理解ご協力に感謝申し上げる、2)岡山県の生き活きプランにより自立、社会参加促進に取り組んでおり、就労・就職がその重要なポイントとなっている。県としても力を入れ、障害者就業・生活支援センター、労働局、企業と連携して施策を進めているところであり、なお一層のお力添えをお願いするとともに、貴協会の発展、会員のご活躍を祈念する、といった話がありました。

続いて、本部報告として、1)先の通常国会で障害者雇用促進法が改正され、障害者の活躍の場の拡大に関する措置、国及び地方公共団体における障害者の雇用状況についての的確な把握等に関する措置が設けられた、2)8月7日、労働政策審議会障害者雇用分科会が開催され、特例給付金の支給額などについて厚生労働省事務局から具体的な提案がなされた、3)厚生労働省からの受託事業として実施している障害者雇用相談コーナーの周知について、会員の皆様にもご協力いただきたい、また、4)会員の皆様ご自身も気軽に相談コーナーをご利用いただきたい、5)同じく厚生労働省からの受託事業として実施している障害者活躍企業の認証については、8月末で申請の受け付けを終了した。多数の申請をいただき、会員の皆様のご協力に感謝。今後、外部有識者等からなる認証委員会で審査を進めることとなる、6)これまでのブロック会議や都府県支部会議のような地域毎の会員の集まりに加えて、今後は、A型や精神障害者、助成金といった特定のテーマ毎に全国の会員にご参加いただく研究部会を設けることを検討しているので、積極的に参加いただきたい、7)昨年度は、会員からの寄付が減ってしまったので、今年度は積極的なご寄付をお願いしたい、といった話がありました。

その後、経営状況や障害者の雇用状況に関する会員企業アンケートの結果を踏まえ、出席会員各社から近況報告が行われました。

経営状況については、米中貿易摩擦や日韓関係の影響が出てきている、消費税増税後、オリンピック終了後の先行きは不透明といった話がありました。また、障害者の雇用状況については、採用が精神障害者、発達障害者にシフトしてきていること、中途採用の場合の職場定着に課題があること、障害のある従業員の高齢化への対応が課題であるが、最低賃金の上昇により、その点がより一層クローズアップされてきていることといった話がありました。

ブロック会議の最後に、岡山障害者職業センター所長の余野木様からごあいさつをいただき、1)平成24年、25年に機構雇用開発推進部に在籍しており、研修等で全重協とのかかわりがあった、2)雇用管理上の課題が発達障害、精神障害にスライドしてきており、ジョブ・コーチも作業支援から相談支援にシフトしてきている。障害者職業センターにおいても時代とともに重点がかわってきており、ノウハウの蓄積と提供を進めているところ、3)名称が変わるということで、全障協の益々の発展とノウハウ提供のさらなる進展を祈念するとともに、障害者職業センターとの一層の連携をお願いする、といった話がありました。

今回のブロック会議については以上ですが、当日はブロック会議に先立って、午後1時30分から岡山市北区に所在する(株)ベネッセビジネスメイトを見学させていただきました。

同社は、ベネッセグループの特例子会社として2005年に設立され、岡山・東京エリア拠点合わせて本年4月1日現在で知的障害者77名、精神障害者27名、発達障害者28名、身体障害者26名を雇用しています(うち岡山エリア拠点では知的障害者25名、精神障害者10名、発達障害者11名、身体障害者11名)。

見学は2班に分かれ、オフィスビルの清掃を行う「クリーンサービス」、大量コピーやデータ入力、製本等を行う「OAセンター」、郵便物等の仕分け、社内配達や重要書類のシュレッダー裁断などを行う「メールサービス」の職場を拝見させていただくとともに、各職場で障害のある従業員の方々から業務説明を行っていただきました。

各職場には、ホワイトボードに各自の仕事を15分単位のカードで表示し、完了したカードを本人が裏返して進捗状況がわかるようにする、臨時・緊急の仕事はオレンジ色で表示する、静かな休憩スペースを設け砂時計で10分まで随時休憩ができるようにするといった様々な工夫が施されていました。見学して特に印象的だったのは、従業員の方々がたいへんスムーズ、自然に業務をこなしておられることであり、その背景には、こうした工夫・努力があるものと思われました。

見学の前後には、(株)ベネッセビジネスメイト代表取締役社長の櫻田満志様から概況説明があり、1)ベネッセビジネスメイトの役割として、@ベネッセの障害者雇用の推進、Aベネッセの事業を支える、B障害者雇用の未来を育てるを掲げている、2)組織体制として、社長のもとに「障がい者雇用推進本部」を設置し、就労継続支援A型事業所も運営している、3)人事総務部に定着推進課を設け、障害のある従業員の研修、定着支援、指導員の勉強会運営などを行っている、4)個人を支援する体制として、課長のもとに複数の指導員を配置し、各指導員が障害のある従業員メンバーを担当するとともに、メンバーの中から業務リーダーであるキャプテンを選任している、5)複雑で難易度の高い業務の工程・設計を見直し、さまざまな特性をもった障害のある従業員が働きやすい業務に変えていく「楽ジョブ」(「仕事を楽にしよう、仕事を楽しくしよう」)という取組を進めている、6)アビリンピックにも積極的に取組み、毎年出場している、といった話がありました。

このように、業務の特性に応じた見える化の推進、障害のある従業員が相談しやすい体制づくりなどについて、具体的に見聞することができ、他の会員企業でも参考となる事柄が多い、たいへん有意義な見学会となりました。