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ミニ情報通信

令和2年度北海道・東北・関東甲信越ブロック合同会議が開催されました。

令和3年3月5日午後1時30分から、オンライン会議(ZOOM)として標記会議が開催されました。

最初に、栗原会長からあいさつがあり、1)過去に九州・沖縄ブロックと北海道ブロックの合同会議の例はあるが、3ブロック合同でしかもオンライン方式は初めてであり、会員の皆さまには活発な発言をお願いする、2)2月13日に発生した福島沖地震で被災された方々にお見舞い申し上げる、3)新型コロナウイルス感染症の影響下にあってたいへんご苦労されていると拝察する。一日も早い終息をお祈りするとともに、全障協としても状況を注視しつつ、必要な情報提供等を行ってまいりたい、4)当協会は、総会の決議を経て昨年4月に団体名を全障協に変更して新たなスタートを切った。引き続き、会員の皆さまのご支援、ご協力をお願いする、5)厚生労働省からの受託事業について、つい先日の3月3日に開札が行われた。その結果、引き続き全障協が受託できることとなったので、障害者雇用相談コーナーの活用をお願いする、6)本日は、小野寺障害者雇用対策課長、横堀北海道ブロック長に講演いただくことにしている。質疑応答等の時間も用意しているので、積極的にご発言いただくようお願いする、といったお話がありました。

次に本部報告として、1)令和3年度障害者雇用施策関係予算案(厚生労働省)のポイントの紹介、2)令和2年度第1回通常総会の令和2年6月開催など、全障協本部の最近の主な活動状況の報告、3)令和2年度厚生労働省、大阪府からの受託事業の進捗状況報告、4)障害者雇用相談コーナーの活用のお願いについて話がありました。

続いて、厚生労働省の小野寺障害者雇用対策課長から、「障害者雇用対策の現状と今後の展望」と題して講演いただきました。講演では、@新型コロナウイルス感染症の障害者雇用への影響を含む障害者雇用の現状、A精神障害者雇用トータルサポーターの新規配置による企業向け支援の強化、B就職活動に困難な課題を抱える学生等への特別支援チームによる支援、C雇用施策と福祉施策の連携による就労支援の強化、について説明いただいた後、現在検討されている主な課題について、概要次のようなお話がありました。

1)厚生労働省内に「障害者雇用・福祉連携強化プロジェクトチーム」が設けられ、中間とりまとめが行われた。この中間とりまとめにおいては、@制度が縦割りになっていること、A就労支援ニーズの増大に対応する必要が生じてきたこと、B雇用・福祉施策双方において現行制度が抱えている課題があること、といった基本的な現状認識が示されている。2)これに対して、今後の検討の方向性としては、@就労能力、適性の評価の仕組みの創設や支援計画の共有化、A就労支援人材の育成・確保のための雇用・福祉施策に跨がる統一的なカリキュラムの作成や人材育成の共通の仕組みの構築、B支援機関の役割の明確化、Cテレワーク、短時間労働等、多様な働き方への対応の検討、D就労継続支援A型事業所の取扱い等、納付金制度に係る検討、E精神障害者の医療受給者証等の取扱い等雇用率制度に係る検討、F就労系福祉サービスの在り方の検討、などが論点としてあげられている。3)これらに関して、「障害者雇用・福祉施策の連携強化に関する検討会」を立ち上げた。また、検討会の議論を円滑に進めるため、@雇用・福祉政策の双方で利活用できるアセスメントの仕組みづくり、A雇用・福祉施策共通の人材育成の仕組みづくり、B就労支援機関の在り方をテーマに論点整理など集中的に検討を行うための3つのワーキンググループを設置した。6月頃に同検討会報告書をとりまとめて労働政策審議会障害者雇用分科会に報告し、秋口以降、議論を深めていく予定である。4)障害者雇用の今後の検討に向けた論点として、雇用率制度については次のような課題がある。@令和5年の法定雇用率の引上げについて、その引上げ幅、引き上げ時期について議論していく必要がある、A障害者雇用率設定のための計算式の分子において就労継続支援A型の取扱いをどうすべきか、B精神障害者については令和4年度末まで短時間労働者も1カウントとされているが、令和5年度以降どのようにするか、C精神障害者に「重度」といった取扱いがないが、等級に応じたカウント上積み等はできないか。5)また、対象障害者の範囲については次のような論点がある。@自立支援医療受給者証や指定難病の医療受給者証の交付者等の取扱いをどう考えるか、A手帳不所持者について、就労困難性を客観的に評価することについてどう考えるか。なお、例えば、フランス・ドイツでは個別の就労困難性による障害者の認定を行っており、法定雇用率は5〜6%となっている、B週20時間未満の短時間労働者について雇用率の評価をどのように考えるか。6)さらに、中高年齢層等の長期雇用者について雇用率制度におけるカウントの上積み等は考えられるか、除外率の廃止又は縮小についてどう考えるかという論点もある。7)納付金制度の在り方については、次のような論点がある。@納付金制度の適用となる企業規模と雇用義務が生じる企業規模にずれがあるが、適用範囲を拡大すべきかどうか。この点については、中小企業の状況も鑑み、まずは雇用促進に向けた支援を優先させるべきとの考えもある、A調整金は上限なく支給されているが、経済的負担の調整という趣旨を逸脱しているのではないか。また、障害福祉サービスの報酬との関係など就労継続支援A型事業所の取扱いをどう考えるか、B納付金制度の安定的運用も課題であり、単年度赤字に係る調整機能の導入についてどう考えるか、8)その他に、在宅就業障害者支援制度の利活用の促進の方策、地域の中での緩やかな連携による雇用の場づくりという観点からの事業共同組合等算定特例のより効果的な在り方なども論点となっている、9)障害者雇用について、雇用率達成が主目的になってしまっていないか危惧している。障害者雇用を進める上で雇用率は1つの手段に過ぎなかったはずである。事業主が適切な雇用の場を与えることにより、障害者が経済社会の一員として能力を発揮する機会が提供され、障害者も有為な職業人として自立するよう努力する。これにより、障害者が経営に寄与する戦力として迎え入れられ、本人のスキルアップも可能となり、行政がそれをサポートするとの基本理念のもと、引き続き障害者雇用の促進に向けた取組をお願いする。(小野寺様のお話の詳細は、こちらの資料をご覧ください。)

次にクリーンリース株式会社専務取締役の横堀大様(全障協北海道ブロック長)から、「コロナ禍における障害者雇用」と題して講演いただき、概要次のようなお話がありました。

1)当社の従業員数は119名であり、障害者雇用率は68%である。昭和46年に地元の特別支援学校から採用したことが障害者雇用のはじまりである。その後、昭和53年に労働省心身障害多数雇用モデル工場となり、平成26年には、リワーク支援や高齢化従業員の受皿となるなどで一般就労を補助するものとして就労継続支援A・B型事業など障害者福祉サービス事業を開始した。2)業務については、1時間当たりの平均処理量が経時でグラフ表示される「ベンチマークシステム」を使って、自分自身との競争を促進している。これはノルマを課すということではなく、正確なアセスメントにより成長をみて戦力化するための雇用者・支援者側の情報アップデートのために導入しているものである。3)時間当たりの処理量について評価基準値を設定する等によりキャリアパスを設定し、各自できることを積み上げていくことで多能工化することを目指している。4)コロナ禍の影響については、昨年5月に売上高が前年同月比で82%減まで落ち込み、その後、回復基調にあったものの、年末年始の観光需要が無くなり、再び落ち込んできている。5)こうした中、22日勤務を10日前後の勤務に変更する全日休業方式と毎日稼働するが、部署ごとに勤務時間を調整する短時間休業方式を導入した。6)さらに、新たにマスク製作に取組むこととし、「どうやったら皆ができるようになるか」との視点で従業員参加のもと、作業工程や補助具を工夫して対応した。7)加えて、会計書類や契約書等の紙文書を電子化するオフィスワークも開始し、漢字検定を取得している、タイピングが非常に速いなど知的障害者の能力発揮が見られた。8)これを受けて、初の試みとして知的障害者を一般事務職として採用した。現在、データ入力作業には問題がなく、電話応対は訓練中である。9)具体的な事例としても、マスク製作作業の中でグループをとりまとめ進捗管理を行う力が発揮されたり、オフィスワークを経験したことで自信がつき、急激に生産性が向上したケースなどが見られた。(横堀様のお話の詳細は、こちらの資料をご覧ください。)

講演に続いてチャットを使用した質疑応答が行われ、一般就労と障害福祉サービス事業の具体的な連携方法、納付金制度自体の抜本的見直しの方向性、障害者就業・生活支援センター等との連携の在り方等が話題となりました。

最後に、新井関東甲信越ブロック長から閉会のあいさつがあり、1)オンラインの会合なども動き出しているので、積極的に参加いただきたい、2)福祉・雇用をつなぐ就労能力等のアセスメント、キャリアトランジション、障害者就業・生活支援センターとの良好な関係の構築などについて、全障協としても福祉、雇用の立場を超えて相互に協力していきたいと考えている、3)コロナ禍で企業はたいへんな状況にあるが、元気でいることが重要であり、オンラインを活用した全国の会員間の交流も進めていきたい、といったお話がありました。